中国ペット産業 | ペットの世界もスマート化、「他経済」の発展
中国のペット産業は、2019年に2200億元規模に到達後急成長しており、2025年は8000億元越え、2027年には1兆元を超えると予測されています。
ペット産業の経済規模拡大に伴い、家族の一員としてペットをかわいがるだけでなく、健康管理やペットのライフステージに合わせたサービスなど、人とペットの共生を重視したペット産業が形成されてきています。
本記事では、中国で成長するペット産業の現状と、中小企業のビジネスのヒントをお伝えします。
急成長! 中国ペット産業
中国では、第二次ペットブームと言われる2000年代頃から、「家畜」「番犬」から「家族の一員」として迎えられるようになりました。海外ブランドの餌や関連グッズも2010年代からの急速なペット産業の発展を受けて、地域で予防接種などの整備が進み、中国国内生産の海外ブランド品(OEM)やチェーン展開の動物病院なども増えていきました。
2020年の海外製餌の関税引き下げ措置(15%から4%)により、高級な海外ブランド品と比較的安価な中国国産品という構図が一時期できあがりましたが、産業規模の拡大を受けて今では中国国産ブランドが急成長中です。

※2025年以降数字は予測値
犬猫以外のペット飼育者も増加
「4歳以下の子どもの数より増えた」と言われているペット数は、2024年現在1億2400万匹以上と言われており、その70%が一線二線都市に集中、猫の方が犬より約2000万匹多いという統計が出ています。
上海や北京などの大都市では、犬よりも猫の方が人気が高いものの、ここ数年で爬虫類・鳥類・うさぎやハムスター、熱帯魚などの犬猫以外のペット需要も伸びており、1700万人以上が犬猫以外のペット(中国語:異寵)飼育者と言われています。
ペットとの共生が生みだす新しい経済
主な「飼い主」は2010年代は50代以上が2割を占めていましたが、2021年ごろから特に90年代生まれ以降の若者層に移行しており、2024年では20-30代が約6割を占めるようになっています。
ペットはすでに「かわいがる・満足させる」だけではなく、「体に良い餌で健康維持・アプリで健康管理」というステージに入っており、新しいものへの消費意欲が高い20-30代のニーズにマッチした「自動餌やり」「健康管理機能付きGPS首輪」などのペットテック商品も人気です。
主な飼い手の変化、多様化するペット産業
病院や美容院、ペット用食品などのペットが直接消費するものから、
「ペットカフェ」「共有ペット」など動物への興味や親近感を促進するサービス、
「ペット美容院」「ペット撮影する映えスポット」「ペットのフィギュア」「ペットホテル」「ペット保険」の定着へ、
さらには「ペットと観光」「ペットフレンドリー都市」など、人とペットが共生できる環境の構築へとペット産業の多様化が進んでいます。
特に広州市の「ペットフレンドリー都市計画」は、ショッピングセンターや繁華街、観光スポットから空港など交通機関などが一体となって人とペットにやさしい街づくりに参加しており、住民だけでなく観光客にも人気です。
また、ペット(動物)の人を癒す効果に着目、学校や老人ホームでの「ペット療法」の活用事例も多くメディアで紹介されるようになってきています。
中国ペット用品の海外展開のカギ「ペットテック」
食品、尿パットや砂などのトイレグッズから、おもちゃ、衣料、首輪やリードなどの散歩グッズなど、ペット関連商品は多岐にわたりますが、ペット業界でも海外で人気なのは「ペットテック」、最新テクノロジーを利用したスマートグッズです。

システムトイレ本体と猫砂のサブスクセットが好評のPETKIT(小佩宠物)や、ペットを自宅で洗ったあと、体を乾かすために利用するドライボックスで有名になったHOMERUNPET(霍曼科技)などは、アジア各国をはじめ、アメリカやヨーロッパなどにも市場を拡大しています。
人が口にする食品と同じ基準で製造しているペットフードとしてGambol Pet(乖宝宠物食品)は世界33カ国で販売するなど、ペット関連産業が生み出す新しい経済を表す「他経済」(中国語:它经济)は、新な消費シーンや業態、消費者ニーズと結びつき中国国内の多様化にスピード対応するだけでなく、海外へも積極的な展開をしています。
まとめと課題 | 中小企業事業展開のヒント
中国ペット産業の現状をお伝えしました。
2010年代からの急速な発展時期に生まれたペットたちの高齢化時代に入っており、今後ますますペットの健康管理や医療、葬儀等のサービスの高度化が必要になってくるでしょう。また、繁殖、ペットの登録・予防接種・飼い主の飼育意識などの体制整備やマナー普及などの面は、急速な経済発展に追いついていない部分を指摘する声もでています。
行政と関連団体、飼い主などがよりペットと幸せに共生できる社会づくりが必要でしょう。
* 中国ペット産業経済規模は、2025年8000億元に達する見込み
* 2024年、ペット数は1億2000万匹越え。中国では猫が好まれる傾向
* ペットヒューマナイゼーションが加速。ペットテック(スマートテック)商品は海外でも人気
中国ペット産業の現状については、次回以降「ペットフレンドリー都市」の取り組みなどを中心としたペットと人との共生を中心とした情報をお伝えする予定です。
中小企業事業展開のヒント
* 血統管理や誕生日、予防接種や治療カルテなどのライフステージ基礎データを第三者機関の認証形式で提供。課題を補完し価値を高める
→ 自社ではなく、「第三者機関」の信頼性で価値を高める
* ペットの日常手入れなどの手間削減と消臭・抜け毛等の「困りごと」を日本のペットサービスで解決
→ HOMERUNPET(霍曼科技)のドライボックスは、乾かすときの抜け毛やペットが動き回ってしまう問題を解決
* 餌、猫砂、尿パットなどの消耗品や、健康管理などを融合させた飼い主との接点を多くする取り組み
→ システムトイレ本体と猫砂のサブスクセットされたPETKIT(小佩宠物)では、システムトイレで健康管理も
最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事を通じて何かしらのヒントや情報を得てくださり、少しでもお役に立てたなら幸いです。
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[…] ており、海外へ市場を求める動きがすでに活発化しています。中国ペット産業 | ペットの世界もスマート化、「他経済」の発展 でもお伝えしたとおり、例えばシステムトイレ本体と猫砂 […]