NEPCON ASIA2025(深圳)レポート
2025年10月28-30日まで、深圳国際会展センター(宝安)にてNEPCON ASIA 2025が開催されました。
中国のテクノロジー・製造の中心地である深圳で行われた、アジア最大級のエレクトロニクス製造総合展「NEPCON ASIA 2025」のレポートをお届けします。
NEPCON ASIA2025の概要

中国では毎年2回上海と深圳で開催されています。
       
NEPCON CHINA(上海)
2025年4月22-24日 上海世博展覧館(終了)
2026年6月2-4日 上海世博展覧館
NEPCON ASIA(深圳)
2026年10月27-29日 国際会展センター宝安
NEPCONは共催の展示会が多く、具体的な数字発表が全体的に遅い印象もあるのですが、出展者同士の無料マッチングサービス、ワークショップや会議・フォーラムの豊富さなど、グローバルな展示主催会社としてクオリティの高さを誇っています。
日本では、「ネプコン・ジャパン」として毎年4回開催されています。
NEPCONは“幅広い”
NEPCONは、「エレクトロニクス製造業界」の展示会。
一般的には、半導体や小さな電子部品、その中の内臓プログラムやネットワークの総称として使われているエレクトロニクスという分野は、例えば自動車やスマホ、テレビ、工場の産業用ロボットなど、私たちの生活に欠かせないものになっています。
エレクトロニクス産業は、電子機器の設計や製造、部品・材料調達、物流などを、他社から受託して提供するEMS(電子機器受託生産)が主流となっており、電機メーカー・電子部品商社・電子部品製造メーカー各社が役割を分担しています。
中国智研瞻産業研究院によると、EMS(電子機器受託生産)の中国市場規模は2025年1.20万億元、2030年には1.95万億元に到達すると予測されています。
今後、量子コンピューター、5G、AIなどの急速な発展・普及に伴い、市場規模は拡大傾向、最新の部品情報・製造情報等の整理・調整・最適化がますます重要となるとともに、より専門化や効率化が求められています。
こういった背景から、NEPCON出展内容が幅広い分野にわたっているのも納得できるでしょう。

NEPCON恒例「分解」エリア
NEPCONではお馴染みの、注目製品を「分解」してその技術を詳細に紹介するエリアは、注目製品のコア部品を理解し、その部品の技術詳細を学ぶには最適なエリアです。また、各部品を提供している企業とバイヤーをつなぐ取り組みとして、新市場を開拓する大きなチャンスの場にもなっています。
<分解エリア>
AIスマートグラス分解エリア
低空飛行コンポーネント分解エリア
エンボディドインテリジェンスロボットコア部品分解エリア
これ以外にもデモ展示として以下のような具体的な展示も用意されていました。
電子完成品自動パッケージングデモエリア
IGBT & SiC パッケージング・検査デモライン
電子部品自動パッケージングデモや製造自動化設備のメーカー出展ブースはどこも大盛況でした。

センシング、グリーン購買、産学協同
自動運転技術や工場自動化などに応用される重要製品・部品の出展も多く、日本を含む海外からの参観者が多かったのが、センシング部品とロボット分野。EMSで細分化・専門化されてきているものの、部品からソフトウェア、完成品まで全てラインナップしている企業のブースは、途切れることなく参観者が訪れていました。
特にセンシングブースには、海外からの参観者が目立ちます。
産業用マザーボードの信步科技は、30年以上の歴史と原材料の安定購買と持続可能なグリーン購買を前面に打ち出しており、「高品質」を材料から保障する取り組みが海外バイヤーから高く評価されていました。
また、大学研究室と民間企業が共同開発した成果を製品として展示していたのも印象的でした。産学協同体制による成果の発表だけにとどまらず、製品化して市場を意識することで、最先端の研究に資金が回り社会にも貢献する仕組みが確立しているのは、スピードと市場を重視する中国らしさを感じます。

まとめ
まとめ
* NEPCON展示会の共催の多さは、エレクトロニクス産業の幅広さ
* EMS(電子機器受託生産)市場規模拡大中。より専門化・効率化が求められる
* NEPCON「分解」エリアはコア部品技術を学ぶのに最適
* 細分化・専門化が進むものの、それらを「つなぐ」プレイヤーの存在は展示会では見えて来ないが、今後重要なポジション
* 中国でも進む持続可能なグリーン購買対応
最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事から何かしらのヒントや情報を得てくださり、少しでもお役に立てたなら幸いです。
本ブログは、実際に中国で製造業の基礎となる金型製造工場経営をしている立場から、中国メディアのニュースなどを元に現場でのリアルな状況を加えて、独自にお伝えしています。
今後も、中国情報をアップデートし、中国の事例から日本の中小企業が学べる未来のヒントを発信していきます。

