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中国物流業界 | ラストワンマイル 変化を続ける宅配・配達と無人物流【後編】

中国物流業界 | ラストワンマイル 変化を続ける宅配・配達と無人物流
目次

中国物流業界 | ラストワンマイル 変化を続ける宅配・配達と無人物流【後編】

年末商戦による荷物増加や人手不足などから、一部配達遅延が出ている日本。中国でも急速に発展したEコマースの需要が拡大を続けており、荷物取扱量は1日に約5億個、1年間では約1900億個!

今回は、【前編】に続き、ラストワンマイルや中国物流業界の課題解決のための取り組みや、無人物流本格実現に向けたテスト運用地域の情報などをお届けします。

1. Eコマースからクイックコマースへ 拡大する宅配市場
2. ラストワンマイル ニーズとサービスの変化
3. 宅配荷物サービスステーション「快递驿站」の課題

4. 無人物流への期待 | 無人物流テスト運用地域
5. これからの宅配市場 | スマート化・グリーン成長・高効率化
6. まとめ

無人物流への期待 | 無人物流テスト運用地域

宅配荷物サービスステーションは今、ビジネスモデルの抜本的な見直しを迫られています。
物流業者の人手不足解消やエンドユーザーへのサービス向上、無駄を省くことで脱炭素・物流効率化を目指して、無人物流(無人配達車)の取り組みが進んでいます。2021年北京で最初にテスト運用が開始され、現在は20地点にまで拡大しています。多い地域では取扱件数一日10万個に達しているそうです。

※中国工信部(工業・情報化部)等の公表データを独自集計。2025年現在20地点

杭州市で無人配達テストが実施され始めたころ、運転中に無人運転の車を見かけると何となく避けたり徐行していました。
駐車停車中の車の後ろや舗装状態の悪い道路で立ち往生してしまい、その後ろで無人運転車による大渋滞が発生するなど、無人物流車と日常生活中の自動車やバイク、自転車など様々な移動手段や人とのウォーミングアップ期を経験しました。

ウォーミングアップ期を経て日々改善されていくのを目の当たりにし、無人運転への親しみや理解度がより深くなってきています。杭州市だけで、現在数百台がテスト運用されおり今後1000台まで規模を拡大してさらに複雑な道路等でのテスト運用を重ねていく予定です。

これからの宅配市場 | スマート化・グリーン成長・高効率化

Eコマースの急速な発展は、宅配ロッカーや宅配荷物のサービスステーションなどの新しいビジネスを創造し、都度人手不足やサービスのさらなる向上など様々な問題を解決しています。
一方で新しいビジネスへの参入者が急増し、価格戦争や同質化を招き健康的な成長を妨げる要因にもつながり、ラストワンマイルの課題解決は物流業界全体の発展に比べてまだまだ時間がかかるとみられています。

杭州市で一般道を走る無人配達車。大通りだけでなく、違法駐車が多く大型トラックやバイク・自転車・徒歩の人が行きかう細い道も走る

スマート化 | 人が荷物を探す時代から荷物が人を探す時代へ

無人配達テスト運用は無人配達車だけにとどまらず、例えば深圳や上海などの都市部や山岳地域ではドローン配送試験も行われており、低空エリアを活用した低空経済への期待も高まっています。

AIと無人物流車の自動運転を利用した配送ルートの最適化や荷物自動仕分けなどのスマート化は、人手を介したミスを削減し人手不足も解消し、数千億円規模の削減に成功しています。また、労災事故も20%以上減少しており見えないコストの削減にもつながっています。

各企業公開資料等より、独自作成(参考)

グリーン成長

物流業者の拠点間輸送の約60%が新エネルギー車(NEV)トラックを導入、無人物流車の試験運用・導入によって、エネルギーコスト削減が進んでいます。
無人物流車は1台あたり数千元~数十万元までと機能や大きさによって差はあるものの、今後テスト運用がさらに進み、規模化が実現すればさらに2割程度のコストダウンが実現できると試算されています。

物流業者の拠点となる倉庫集積地もグリーン化を推進しており、安全で整頓された自動運転トラックやグリーン倉庫など業界標準化に向けて進んでいます。
倉庫集積地で業界統一規格のパレットを利用することで、共通の自動化設備導入が可能となり、リサイクルの自動化もできることから、業界全体でのカーボン排出量の計算できるようになり、カーボンクレジットなどカーボンニュートラル実現の経済的手段となることも期待されています。

高効率化と国際物流協調

物流業界の標準化を推進することで、国際物流網との協調が進みさらなる高効率化が期待されています。

自動化や標準化が進み、クロスボーダーECや国際物流倉庫アウトソーシング等国際協調しやすい環境を作り、国際サプライチェーン強化をより容易にしています。

中国物流業界全体で自動化を推進し、価格競争ではなく業界協調によりエンドユーザーや社会に与える価値などサービスで競争する方向にシフトすることで、物流業界が健康的に発展することが望まれています。

まとめ

日本と同様に人手不足やラストワンマイルの課題に直面している、中国の物流業界についてお伝えしました。

急速な発展に合わせて、失敗を恐れずに新しいビジネスが生まれている中国は市場規模が大きい分、競争も激しいのが現実です。しかし、長期的な視野でビジネス展開できる力がある日本の中小企業が、例えば無人物流やカーボンニュートラルなどの分野でコラボレーションしたら、日本の人手不足や再配達のコスト増などの課題解決につながるかもしれません。

まとめ
* 中国の2024年の荷物取扱量は約1900億個、今後さらに拡大見込み
* Eコマース等の急速な発展に、人手不足やラストワンマイルなど課題を抱える
* 宅配ロッカー・宅配荷物サービスステーションなど新しいビジネスモデルが生まれているが、持続的な運用には至っていない
* 無人配達テスト運用の加速
* 今後スマート化・グリーン化・高効率化で健康的な発展を目指す

日本の中小企業のビジネスヒント
* ECサイトでの注文から自宅までの配送完了が、1つのアプリ内で全てリアルタイムに閲覧・指示できるようなUI・UXを構築
* 大規模マンション内など、再配達や敷地内セキュリティに伴う手間削減のための「後付け」サービス構築。
* 各物流会社共通置配指示・同意・確認のリアルタイムサービスの専用アプリ開発
* サービスステーションで各物流会社を集約、ラストワンマイルの共同配達体制を確立
* 長期的視点を持つ日本企業が、カーボンニュートラルなどの分野で中国とコラボレーションを通じて第三国へ展開

最後までお読みくださり、ありがとうございます。中国の物流業界への理解を深める第一歩になれば幸いです。
本ブログは、中国で発表されたニュースを元に、30年以上続く金型メーカーの経営者目線でまとめて、お届けしています。

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