中国物流業界 | ラストワンマイル 変化を続ける宅配・配達と無人物流【前編】
年末商戦による荷物増加や人手不足などから、一部配達遅延が出ている日本。中国でも急速に発展したEコマースの需要が拡大を続けており、2024年の荷物取扱量は約1900億個!
今回は、1日に約5億個もの荷物が動いている中国の宅配・配達の状況や課題、無人物流のテスト地域などの情報をお届けします。
Eコマースからクイックコマースへ 拡大する宅配市場
個人向けに配達業務を行う「宅配」が中国で本格的にスタートしたのは、1990年代後半と言われています。2009年、アリババグループが始めたEコマースの「ダブルイレブン」セールをきっかけに、宅配市場の規模が爆発的な拡大を始めます。
2013年頃には大都市圏の一般家庭ではネットショッピングが普通に利用されており、それまでは中国大型連休(10月の国慶節や春節など)前後には、停滞が常であった物流業界が休まずに営業することを宣言するなど、一般消費者にとっては大変便利になってきました。その一方で、市場拡大スピードに追い付かない粗悪な宅配サービスや人手不足なども同じように問題視されるようになってきました。
2018年ごろからは、翌日配送もほぼ日常化し、春節に一般家庭がネットで買い物をすると、ネットショップ側さえ休みでなければ、通常より1日程度遅れて到着する程度の高度な物流システムが構築されました。
コロナ禍で非接触型宅配サービスが発達し、人手不足を解消し過疎地への配達を効率良く行う、宅配荷物ステーション化が加速。市内同日配達・即時配達してくれるサービスが転じて、フードデリバリーやスーパーでの代理購買も急速に発達し、今では60分以内でほぼ何でも届けてもらえる「クイックコマース」時代になっています。
「何でも買える」Eコマース市場の急成長から、「今すぐ欲しい」を叶えたクイックコマースが経済の活性化の一端を担っている中国で、進化を続けなければいけないのが宅配・配達というエンドユーザーを向けのサービスなのです。
ラストワンマイル ニーズとサービスの変化
ラストワンマイルとは、エンドユーザー(末端消費者)へ商品を届ける、最後の物流区間のことです。
エンドユーザーの早く確実に受け取りたいニーズと、物流業界に慢性的に広がる人手不足解消や再配達などの二度手間など省き、よりよいサービスを提供したい物流業者(または物流を利用して販売をする業者)が、様々な仕組み生み出しました。
まだ「宅配」という概念がなく、郵便で小包を送っていた時代には、速達で小包を送る場合最寄りの郵便局へ持って行き、受け取りも郵便局へ行くのが当たり前でした。
荷物が早く届くことがサービスであり、外箱の破損にも「中身が破損していなければよし」といったレベルだった時代から、あっという間に自宅への集荷や配達が普通のサービスになりました。
全ての手続きはスマートフォンアプリで手続き完了です。

2010年前後、留守中に配達された場合多くは電話で再配達の依頼をする必要がありました。
同僚同士・隣人同士で良かれと思って代わりに受け取ったものの、実は粗悪品だったり心当たりのない荷物であり、物流業者と代わりにサインした人と本来の受取人で訴訟の泥沼になることもありました。
当時、自宅や仕事場付近の受取代行場所に届けてもらい、自分で取りに行く仕組みもありましたが、受取代行場所自体の営業時間に間に合わなかったり、荷物の紛失などが課題でした。
受取代行場所から自宅までの「ワンマイル」の解決に、2012-15年ごろまでには多くの企業が宅配ロッカーの設置を積極的に行いました。
24時間都合の良い時に取りに行けばよいシステムは便利でしたが、取りに行かないと「超過費用」を負担したり受け取り拒否時のボックス占用、宅配ロッカー故障による食品等の腐敗なども問題になりました。

全ての荷物が受取代行場所に運ばれるわけでなく、自宅まで届けてもらえるサービスもたくさんあります。
基本は自宅ドア前への置配。
大半のマンションでは、マンション入り口で簡単に業者登録をして自宅ドアまで届けることが可能です。マンション敷地内にも監視カメラが設置してあり、物流業者の動線はほぼ全て追跡可能です。
自宅ドアまで届けた証拠写真はEコマースサイトの注文履歴から確認でき、その写真をアップロードした時点で配達終了となる仕組みです。
物流業界におけるラストワンマイルのサービス向上は、Eコマース事業者が取り組むべき大きな課題と認識されており、万が一注文荷物が時間通りに届かない・紛失した場合はEコマース事業者が積極的に介入し24時間以内に返金・再発送等の代案が実行される仕組みとなっています。
宅配荷物サービスステーション「快递驿站」の課題
宅配ロッカーは、日本と同様に限りがあることから、規模拡大を続ける宅配市場の需要を賄いきれないのが現実で、「快递驿站」という受取代行場所に宅配ロッカーや一時保管用棚を完備した宅配荷物のサービスステーションが出現しました。
アリババグループが2015年に始めた「菜鳥ステーション」(菜鸟驿站)は、バラバラだった受取代行場所をブランド展開することで整備・統一管理を実現しました。新しいビジネスが生まれたことで、物流業者の手間を省くだけでなく、それぞれの役割が明確化でき、エンドユーザーに高品質なサービスを提供できるようになりました。
場所と管理人を置くだけでよいこのサービスステーションは、加盟希望者が殺到し、2025年の統計によると、18万スポット以上あるそうです。
拡大するEコマースと物流の発達、宅配荷物サービスステーションという新しいビジネスの出現により、宅配サービスの全国市区町村への普及率は94%以上となっています。

ところが18万店以上もある宅配荷物サービスステーションの半数以上が赤字経営、6割以上は営業継続が難しい状態であると、ここ数カ月の間に大きく報道されました。
物流業者から荷物を受取り、エンドユーザーに変わって一時的に荷物を保管するサービスの収入源は、主に物流業者からの「ラストワンマイルの手間・代行手数料」です。
開始当初は1件あたり0.4~0.8元(宅配最低料金7元前後時代)だった手数料が、取扱量増加に伴って宅配料金が下がり、サービスステーション増加に伴う競争激化で1件あたりの手数料は圧縮される一方。エンドユーザーが受取に来ない・紛失・破損等の罰金制など下請いじめ的な条件が次々と追加されていきます。
そしてエンドユーザーは、物流業者へのクレームはけ口として利用する始末。
地代・人件費・電気代などのコストは上昇しています。
サービスステーション側も荷物を預かるだけではなく、コンビニエンスストアのような他のサービスの提供を通じて収入源の確保を試みているものの、もともと荷物を取りに行く場所であって、ついでに何かを購入するニーズはほぼありません。
新しいビジネスのあまりにも急速な発展で、同業者の乱立から利益圧縮・板挟みの悪循環に陥っており、時代の変化に対応する体力がない状態なのです。
参入の壁が低く、いかにも簡単に起業できるイメージで拡大してしまった仕組みは、新しいビジネス誕生の価値を上回る不健康健康さであるのが現状で、改めてラストワンマイルの課題を解決するモデルの再構築が必要な時期を迎えています。
<配荷物サービスステーションの生き残り>
* ステーション内での収入多元化
* 自動化や宅配ロッカーを有効活用し安全確保やコスト削減の実現
* サービスステーション間やラストワンマイルの無人物流導入により人手不足の解消を促進し、効率アップ
中国物流業界 | ラストワンマイル 変化を続ける宅配・配達と無人物流【後編】に続きます!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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