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中国自動車産業の改革 | インテリジェント・コネクテッドカー産業へ

中国自動車産業の改革 | インテリジェント・コネクテッドカー産業へ
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中国自動車産業の改革 | インテリジェント・コネクテッドカー産業へ

「2025世界インテリジェント・コネクテッド・ビークル(WICV)大会」が2025年10月16~18日、北京で開催されました。
ICV(Intelligent Connected Vehicle)は、安全で快適な自動運転機能を備えた次世代自動車のことで、「完全な自動運転社会」の実現に不可欠な存在と言われています。

中国の自動車業界は、ICVへのの取り組みを積極的に進めインテリジェント・コネクテッドカー産業へと進化しています。

本記事では、中国のコネクテッドカー産業の最新情報と「車・道路・クラウド一体化」構想を説明し、中国の自動車産業の今後を探ります。

1. 2025世界インテリジェント・コネクテッド・ビークル(WICV)大会
2. インテリジェント・コネクテッドカー産業状況
3. 「車・道路・クラウド一体化」で新ビジネスモデル創造
4. 次世代自動車のロードマップ、産業化・実用化
5. まとめ

2025世界インテリジェント・コネクテッド・ビークル(WICV)大会

2025年10月16~18日、世界インテリジェント・コネクテッド・ビークル大会が開催されました。
工業・情報化部や交通運輸部などが共催する、インテリジェント・コネクテッドカー分野における最新の技術的ブレイクスルー、産業動向、実用化事例を共有するとともに、技術革新、実用化課題、リスク管理なども議論、ハイレベルな交流を目的とする国際会議です。
「車・道路・クラウドの一体化」構築の成果、「AI+自動車」など多くの注目分野に関する報告や成果が発表されました。

今年のテーマは「知恵(intelligence)と能力を結集し、ネットワークで無限につながる」。

同時開催の「中国国際新エネルギー・スマートコネクテッドカー展」では、200台以上の自動車展示や、自動運転技術を支える1800以上の関連部品など、出展数は過去最高となりました。

インテリジェント・コネクテッドカー産業状況

コネクテッドカーとは、「双方向通信機能を備えた車」のこと。

例えば、事故発生時に自動的にSOSコールをしてくれる機能や、盗難された車両の位置情報を把握し追跡できる機能、運転支援システムなどを実現しています。

常にインターネットに接続し、高度なセンサー技術とAIを搭載した自動車はコネクテッドカー、スマートカーと呼ばれています。

中国の新車販売台数の内、ほぼ半分を占めるようになった新エネルギー自動車(NEV)の普及により、ガソリンスタンド数の3倍充電スタンドが設置されている中国。

レベル2以上の運転支援システムを搭載している自動車も新車販売台数の60%以上を占め、第5世代移動通信システム(5G)に対応する、車両本体と外部をつなぐ技術「セルラーV2X(C-V2X)」の搭載車両は300万台を超えています。

新エネルギー自動車(NEV)の普及が、充電技術の向上やインフラ整備につながっているだけでなく、インテリジェント・コネクテッドカー化、スマート化を加速させています。 自動車自体が、「移動に関わるすべての体験・インフラ・価値」を提供するスマートフォンに変わるモビリティの代表、「走る情報端末」として、スマートモビリティエコシステムを牽引していると言えるでしょう。

武漢の無人自動運転タクシー

「車・道路・クラウド一体化」で新ビジネスモデル創造

「車・道路・クラウド一体化」は、スマート車両や高度道路交通システム(ITS)、クラウド上のプラットフォームを統合・システム化して高度に協調させる構想のことです。これは、自動運転システムによる安全走行を確保するための重要な手段とされています。

ほんの数年前までは「車・クラウド一体化」「車のスマート化」「ITS」などがモビリティ・スマート・クラウドなどそれぞれの角度から語られていました。新エネルギー車のスマート化も運転支援システムと、それを実現する画像技術・センシング技術や地図情報のビックデータなど、技術合戦の印象でしたが、「車・道路・クラウド一体化」構想により、線でつながり・面として広がってきた印象があります。

「車・道路・クラウド一体化」構想は2024年からインフラ構築・運用などが試験的に開始されています。

試験実施都市は全国で20都市、国家級測定ポイント17拠点以上、全国規模で5Gに対応する車両本体と外部をつなぐC-V2X技術のインフラを構築しながら2026年までを試験事業の第一段階としています。

この事業は、都市ごとに管理プラットフォームが構築されており、車両とクラウド、交通安全管理プラットフォームなどとの相互接続を実現しています。 ICV(Intelligent Connected Vehicle)の安全監視システムを構築することで、車両状況の把握だけでなく、交通違反処理や事故調査に役立てたり、公共交通機関や物流配送車などの無人運転や、自動駐車を可能にする駐車場の建設などにも採用される予定で、新しいビジネスモデルの創出が期待されています。

武漢にあるカーバレーセンターと国家級インテリジェント・コネクテッドカー測定試験場

次世代自動車のロードマップ、実用化・産業化

ICV(Intelligent Connected Vehicle)は、自動運行バス、無人配送、運転支援付き自動車、自動清掃車、スマート充放電などの分野ですでに実用化され、信号機システムの最適化による渋滞緩和、悪天候時の道路状況把握などへの利用も進んでいます。

2025年10月23日重慶にて、国内外15の自動車メーカーが集結して、「車・道路・クラウド 中国・外国自動車メーカー一体化」イベントが初めて開催されました。
現在の大きな課題として、運転支援システムや自動運転の安全性をさらに高めることと、各社統一されていないクラウドシステムが指摘されています。

それぞれ規格の違う海外の自動車メーカーが参加し、日常的な運転シーンを想定した急ブレーキ操作のリスクを自動認識、クラウドでデータ集約されそれぞれの車にフィードバックし後続車に穏やかな自動減速を指示したり、信号機システムに沿った安全車間距離維持と無用なブレーキングによる運転効率低下を防ぎ、環境対策につなげるなど、さまざまな試験の体験イベントとなりました。


中国自動車工程学会は、「省エネ・新エネルギー車技術ロードマップ3.0」として2040年までに中国の電気自動車(EV)など新エネルギー車の市場浸透率80%以上を達成し、世界の自動車強国の仲間入りを目標として掲げました。
そのためにも、インテリジェント・コネクテッドカー産業過度な競争を避け、コア技術の革新にリソースを集中、健全かつオープンなエコシステムを共同で構築する必要性があり、世界規模での共通システムや標準化などを進める必要もあるだろうなど、自動車メーカーからも健康的な産業発展を望む声がでてきています。

まとめ

中国の自動車産業が、インテリジェント・コネクテッドカー産業へと進化をしている最新状況と「車・道路・クラウド一体化」についてお話しました。

* 中国の自動車産業は、電動化からインテリジェント化・コネクテッド化
「車・道路・クラウド一体化」構想でインフラ整備が急速に進む
* 「車・道路・クラウド一体化」事業から生まれる新ビジネスに期待感
* 新エネルギー車をはじめとする自動車産業の過度な競争の時代から、健全でオープンなエコシステムの共同構築の時代

最後までお読みくださり、ありがとうございます。中国情報のアップデートに少しでもお役に立てたら幸いです。

本ブログは、中国で発表されたニュースを元に、現地で30年以上続く金型メーカーの経営者目線で最新情報としてまとめてお届けしています。

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