IFA2025 | 中国発表の展示会レポートから見る、中国の3C業界動向【後編】
IFA2025(国際コンシューマー・エレクトロニクス展)が2025年9月5~9日までドイツ・ベルリンで開催されました。
中国でもパソコンや携帯電話、家電などを含む電子機器やスマートホームなど、個人の生活にもはや不可欠な部品となっている多くのガジェット類は人気商品です。 生活をより快適にする電子機器類は注目度が高く、IoTやAI機能搭載のスマート家電も「新しいモノ」に敏感な市場があるため、どんどんアップデートされていきます。
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中国企業の出展
美的(Midea)、海尔(Haier)、追觅(Dreame)は、ホームエンターテインメント(テレビ及び大型家電)とスマートホーム分野において、注目を集めていました。
スマートイメージングエリアでは、DJI(大疆)新製品のパノラマカメラ「Osmo 360」や「DJI Power 2000」モバイルバッテリー、消費者向けドローン製品「Mavic 4 Pro」などを出展。
インスタ360は、来年発売予定のドローン「インスタ360 Antigravity A1」、ライカとのコラボレーションモデル「アクションカメラAce Pro2」などが人気でした。
中国ブランドの消費者用電子機器の海外進出は、過去の低価格戦略や単一カテゴリーのみのモデルから脱却し、多品種・高品質・ブランド力を前面に打ち出した新たな発展段階に突入しています。
中国ブランドの成功の鍵は、「AIの生活化」というトレンドを的確に捉え、細分化された分野で利用シーンを意識した小さな技術イノベーションを通じて、ユーザーの生活における小さな問題を解決し、他の追随を許さない体制を作り上げていることです。

例えば、石頭科技(Roborock)が以前発表したSaros Z70ロボット掃除機は、AI技術による障害物回避と物品認識技術を進化させたことにより、掃除中に床の靴や靴下を自動的に元の位置に戻す機能の実装を実現しました。障害物として避けるのでなく、その下の床を掃除し元に戻すという人間らしい動作は、動画配信30万回以上を記録し、大きな話題となりました。
小さな技術革新を積み上げ、リアルな利用シーンを映像化してわかりやすく伝える仕組みは、感度の高いユーザーに共有や拡散などの生活上の楽しみを与え、自発的で実体験に基づいた説得力ある宣伝ツールです。ブランド認知度向上やロイヤリティ獲得を目指す、スタンダートかつ重要な手段となっています。

中国の「まとめ」 | 未来展望と中国企業の海外進出成功のカギ
サムソンがタブレット端末やスマートウォッチなどGalaxyの各種デバイスが連携し、データを共有することで、デジタルライフの質を向上させる「SmartThings(スマートシングス)」を通じて実現した全居住空間スマート連動のように、単一製品のスマート化だけでなく、ユーザーに生活シーンベースの便利なソリューションを提供することで、よりリテンション率を高める必要があるでしょう。
また、スポーツ、ビューティー、フード、ファッションなどとの異業種連携により、広範なシーンで製品価値を展示するなど、クロスオーバー的な協力体制を積極的に展開する必要もあります。
テクノロジー製品を消費者の趣味や興味と結びつけることで、テクノロジー製品の冷たいイメージの緩和に、情感や文化的価値を与え、より広範な消費者層を引きつけることができるでしょう。
製品や技術の同質化によりますます競争が激化しています。レッドオーシャンで勝ち抜くためには、スマートホームやデジタルヘルス分野などで、小さな困りごとのようなニーズを見つけ、細部まで行き届いた商品を開発し、技術革新に対する柔軟性や機敏性を生かして「他にないもの」や「他にもあるけどより優れたもの」を絶えず創造することが大切です。
同時に、海外現地のローカル化されたSNSの運営と精密なニュース宣伝を組み合わせて、商品や企業ストーリーを発信し続けることは、海外市場での浸透力とブランド影響力を持続的に強化することに役立つでしょう。
まとめ | 日本の中小企業事業展開のヒント
今回は、中国で発表されたIFA2025展示会レポートや分析を参考に、独自視点記事としてお届けしました。中国の方から見た海外の展示会レポートなので、少し違和感を覚える部分はありますが、全体的に中国製品に偏ることなく、フラットで冷静に分析しているレポートが多いように感じました。
* 世界三大消費者用電子機器展示会:ドイツIFAは、アメリカCES、中国AWE(日本CEATEC)
* AIはすでにイノベーションや産業を牽引し中核を担う存在であることが明確
* 単一製品から生活シーン別につながった製品群の開発や、他者とのクロスオーバー的協力体制が必須
* 技術革新をユーザーにとって便利かつ分かりやすく説明、現地に適した「静と動」のメディアを通じて継続的に発信
日本の中小企業事業展開のヒント
* 日常の手間削減や「困りごと」の解決、ニーズを見つけ技術と融合
* 「最新技術を使ってこんなに〇〇」のように、〇〇を強調してユーザーの心に響き、印象に残る取り組みを。
* 自分の目で見て感じる行動力
* 「静と動」のメディアを上手に活用。特に動画配信は見て楽しむだけでなく、共有し意見を交換する貴重なプラットフォーム
最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事を通じて何かしらのヒントや情報を得てくださり、少しでもお役に立てたなら幸いです。


