中国ビジネスの話をしていると、「〇線都市」という都市の発展レベルを表現する言葉が良く聞かれます。何となくそういう区分けがあるのは知っていても、一線都市と二線都市って結局何が違うの? 蘇州は何線都市? など、わかりにくいのも現実。
国が広く人口が多い=市場大きいだけでなく、地域によって、価値観が違い多様化しているという視点もマーケティングには必要でしょう。
中国の「都市レベル」の基本を、2025年5月末に発表された最新の都市ランキングとともに紹介します。
まずは、2025年最新都市ランキングを見てみましよう。
1.2025年最新都市ランキング
■ 一線都市(4都市)
直轄市(2都市)
北京
上海
広東省(2都市)
深圳
広州
■ 新一線都市(15都市)
直轄市(2都市)
重慶
天津
江蘇省(2都市)
蘇州
南京
浙江省(2都市)
杭州
寧波
広東省(2都市)
東莞
佛山
その他省(各1都市)
四川省・成都
湖北省・武漢
陝西省・西安
湖南省・長沙
河南省・鄭州
安徽省・合肥
山東省・青島
■ 二線都市(30都市)
浙江省(5都市)
金華
嘉興
台州
紹興
温州
江蘇省(4都市)
無錫
常州
南通
徐州
山東省(4都市)
済南
烟台
臨沂
濰坊
福建省(3都市)
福州
厦门
泉州
広東省(2都市)
惠州
珠海
河北省(2都市)
保定
石家庄
遼寧省(2都市)
大連
瀋陽
その他省(各1都市)
雲南省・昆明
黒竜江省・ハルピン
広西省・南寧
吉林省・長春
江西省・南昌
貴州省・貴陽
山西省・太原
河南省・洛陽
直轄市(上記では北京・上海・重慶・天津)とは、中国中央政府が直接管轄している、省と同格を持つ重要な都市のことです。 一線都市・新一線都市・二線都市を省別に見てみると、浙江省が7都市で1位、江蘇省と広東省が6都市で2位となっています。
2. ランキングの要素
ランキング作成にあたり、重視されているのは主に以下の4要素です。
人口(増加率や流動性など)
交通の機能性評価
生活スタイルの多様性や商圏の充実度
未来の発展性
中国の金融やテクノロジー産業の70%以上が一線都市に集中していると言われています。
一線都市は、職業選択や起業のチャンスが多く、交通の利便性の高さ・病院や学校、公園や文化施設など,生活インフラのバリエーションも豊富。
一線都市である北京・上海・深圳・広州の各都市の人口はそれぞれ約2,200万人、2,500万人、1,800万人、1,900万人と東京の人口約1,400万人よりも多いのです。
北京市 2,200万人
上海市 2,500万人
深圳市 1,800万人
広州市 1,900万人
<参考>
東京都 1,420万人(2025年 総務局統計部発表)
1つの市で数千万規模となってしまうほど人口が多い中国において、マーケティングの重要なデータの1つとして、多くのメディアや研究機関でもこのデータを活用されていることから、生きたデータと言えるでしょう。
行政区分とは違い、あくまで経済発展状況別に使われている指標であり、一般的に一線都市4市以外に、二線都市(31都市)、三線都市(35都市)、四線以下と表現されます。
国が発表しているわけではなく、経済発展状況別を市レベルで指標化している
3. 注目される“新一線都市”
2013年に中国大手シンクタンクグループ下の最大手経済メディア・第一財経は、「経済が急速に発展した中国では、行政区分やGDPだけでは都市の魅力を判断することが難しくなっていること」を指摘し、それまでは、不動産価格等を各企業がバラバラに発表し使われていた「〇線都市」という用語を標準化し、初めて新一線都市という概念を発表しました。
今年は15都市が新一線都市に選出されました。 その中でも、「杭州」「蘇州」「重慶」「合肥」が注目されています。新しい産業(新エネルギー自動車やロボットなど)の集積地として発展を続けている都市であることが特徴です。 人口が増えている都市新一線都市に選ばれることは、「一線都市への仲間入り」に近づいたことを意味し、次はどの都市が一線都市になるのか、人が増える・土地が高騰するなどマイナス面、人口が増えれば都市はさらに整備され、より便利に豊かになるという期待感など、様々な議論が展開されます。
一般市民からすれば、単純に自分の故郷や住んでいる場所がランクインするのが単純に嬉しいという程度の事ですが、街づくりや投資を呼び込む指標にもつながるため、行政にとっては重大な発表。どちらにしても、ランクアップした、ランク入りしたとなれば、何となく明るい未来がそこにありそうな気がするのでしょう。
4. まとめ
第一財経が権威あるシンクタンクのネットワークと、インターネット企業との連携を生かして、人口・生活インフラ・経済等を基準とした、経済発展状況を省(日本の県に相当)レベルではなく市レベルで指標化し毎年発表している「魅力的な都市ランキング」。
経済発展状況別を市レベルで指標化している;最新都市ランキングの要素は、以下の4つ。
人口(増加率や流動性など)
交通の機能性評価
生活スタイルの多様性や商圏の充実度
未来の発展性
注目は「新一線都市」
国が広く人口が多い=市場大きいだけでなく、価値観がより細分化し多様化している中国。 国際的競争力・影響力・成長力を持つ都市はどこなのか、中国マーケティングの参考として、ぜひ注目してみてください!